2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

《虫眼鏡座右に備え春炬燵》

加齢に伴い小さな字を判読し難くなりました。背を丸めて炬燵のお守りをしながら辞書を見る時虫眼鏡をよく使っています。

《断崖を斜めに飾り野水仙》

淡路島の水仙郷を訪れた時の句です。眼下に瀬戸内海を見下ろし群生した水仙を眺めながら急な坂道を登りました。

《鶴首して吉報を待つ春隣》

受験シーズンになると首を長くして合格通知を待っています。春は隣まで訪れている様です。昔、電報で「桜咲く」を見て欣喜雀躍したものです。

《掘り返す土は息吹て春めきぬ》

長い冬の寒さがゆるみ庭の土を掘り返すと土まで春を待ちこがれている様な気がします。

《雨戸引く音もやわらぎ寒明ける》

暦の上では二月初旬の立春をもって寒が明けます。今まで寒々とした雨戸の音も心持やわらいだ感じがします。

《肩を寄せ息を凝らして餅沈む》

餅は日が経つと固くなり黴(かび)が生えたりするので寒の水を張った水がめに浸しておく。水餅にしておくと食べるといつまでも柔らかい。幼少時代故郷では水餅をよく作っていたが現在はあまり見当たらない。生活習慣の変化でしょう。往時を回想し作句しまし…

《渦潮の色やわらかく春近し》

鳴門海峡の渦潮は見る人をして引き込まれそうですが潮の色も春近しの感があります。

《大書する命の重さ去年今年》

去年今年(コゾコトシ:季語)は昨日はすでに去年であり今日ははや今年です。そのあわただしい時の流れの中で抱く感懐があります。「去年今年貫く棒の如きもの」(高濱虚子)